相続した空き家、いつまでに何をすればいいですか?【3つの期限と進め方】
この記事の要点(3行まとめ)
✅ 期限は3つあります。3か月(相続放棄)、10か月(相続税の申告)、3年(相続登記)で、いずれも起算点が違います。
✅ 2024年4月1日より前に起きた相続にも登記の義務は及びます。その場合の期限は2027年3月31日です。
✅ 空き家は全国に約900万戸、7〜8軒に1軒。放置して勧告を受けると、小規模住宅用地の特例が外れ、土地の固定資産税が6倍になります。
相続した空き家には、どんな期限がありますか?
3か月・10か月・3年の3つです。起算点がそれぞれ違うため、「いつから数えるか」を先に確かめてください。数え始めを間違えると、選べたはずの手続きが取れなくなります。
3か月:相続放棄・限定承認を判断する
相続放棄と限定承認は、自己のために相続の開始があったことを知った時から3か月以内に家庭裁判所へ申述します(民法第915条第1項)。
「亡くなった日から3か月」ではありません。ご自身が相続人になったと知った時からです。疎遠だったご親族の相続で、通知が届いてから初めて知ったという場合、その通知を受け取った時が起算点になります。
この3か月を過ぎると、原則として単純承認したものとみなされ、借入金などの負債も引き継ぎます。空き家に抵当権が残っている、固定資産税が滞納されている、といった事情がある場合は、この期間内に調べきることが要になります。
10か月:相続税を申告・納付する
相続税の申告と納付の期限は、相続の開始があったことを知った日の翌日から10か月以内です(国税庁 タックスアンサー No.4205)。
こちらは「翌日から」である点に注意してください。3か月の起算点(知った時)とは数え方が違います。
なお、相続税には基礎控除があり、遺産の総額が基礎控除額以下であれば申告義務は生じません。ただし、小規模宅地等の特例などを使って税額をゼロにする場合は、申告そのものが必要です。「かからないから出さなくてよい」とは限らないため、ご自身の場合にあたるかは税理士にご確認ください。
3年:相続登記(名義変更)をする
不動産を相続で取得したことを知った日から3年以内に、相続登記を申請する義務があります(不動産登記法第76条の2第1項)。2024年4月1日に施行されました。
正当な理由なく怠った場合、10万円以下の過料の対象になります。
2024年4月より前に相続した実家も、登記が必要ですか?
必要です。この義務は施行前に起きた相続にもさかのぼって適用され、その場合の期限は2027年3月31日です(法務省「相続登記の申請義務化について」)。
「昔のことだから関係ない」とお考えの方が最も多いところです。祖父母の代で名義が止まったままの土地は珍しくありません。世代をまたぐほど相続人の数は増え、話し合いに必要な人数も増えていきます。名義が誰のままかは、法務局で登記事項証明書を取れば確認できます。
空き家を放置すると、固定資産税はどうなりますか?
管理不全空家等に指定されて市区町村から勧告を受けると、住宅用地特例が外れ、土地の固定資産税が上がります。2023年12月13日に施行された改正空家等対策特別措置法によるものです。
従来は「特定空家等」に指定されて初めて特例が外れる仕組みでした。改正で、その手前の段階として「管理不全空家等」が新設され、窓や屋根の破損を放置しているような状態でも勧告の対象になります。
住宅が建っている土地には、固定資産税の課税標準を軽減する特例があります。200平方メートルまでの小規模住宅用地は6分の1、それを超える一般住宅用地は3分の1です。勧告を受けるとこの特例から外れるため、小規模住宅用地だった土地では税額が6倍になります。
空き家は全国に約900万戸あり、総住宅数に占める割合は13.8%です。前回2018年の調査から0.2ポイント上がり、空き家の数も849万戸から51万戸増えました(総務省 令和5年住宅・土地統計調査)。7〜8軒に1軒が空き家という水準で、放置された空き家への行政の姿勢は年々厳しくなっています。
何から始めればいいですか?
登記事項証明書で名義を確認するところからです。誰の名義で止まっているかが分かって初めて、必要な手続きと相続人の範囲が決まります。
進め方の目安は次のとおりです。
- 登記事項証明書を取り、現在の名義人を確認する
- 固定資産税の納税通知書で、対象となる土地・建物の全体を把握する
- 戸籍をたどって相続人を確定する
- 負債の有無を調べる(3か月の判断に必要)
- 遺産分割の方針を決める(住む/貸す/売る/手放す)
ご自身で進めることもできますが、相続人が複数いる場合や、名義が数世代前で止まっている場合は、早い段階でご相談いただくほうが選べる道が多く残ります。
よくあるご質問
Q. 相続人が複数いますが、代表者だけで手続きできますか?
A. 相続登記の申請自体は相続人の一人からでもできますが、誰がどの不動産を取得するかを決めるには、原則として相続人全員の合意(遺産分割協議)が必要です。
Q. 空き家をリフォームして貸したいのですが、全員の同意が要りますか?
A. 共有物の変更のうち、形状または効用の著しい変更を伴わないもの(軽微変更)は、持分の過半数で決められます(民法第251条第1項・2023年4月1日施行の改正民法)。大規模な増改築にあたるかどうかで扱いが変わるため、内容を具体的に確認したうえでご判断ください。
Q. 遠方に住んでいても相談できますか?
A. できます。横浜駅前の事務所での面談のほか、お電話やオンラインでのご相談も承っています。
Q. 相談は有料ですか?
A. 初回のご相談は無料です。
※本記事は一般的な情報提供であり、個別の判断は税理士・司法書士等の専門家にご相談ください。制度は改正されることがあります。記載内容は2026年8月時点のものです。
監修:株式会社HY(横浜駅前の相続・空き家・事故物件・終活の不動産相談窓口)
代表取締役 田澤 英大(宅地建物取引士/1級ファイナンシャル・プランニング技能士/CFP/公認不動産コンサルティングマスター)
宅地建物取引業 神奈川県知事(1)第033168号
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